2010年11月15日月曜日

本:「人はなぜ太るのか」

私の本棚で見つけた本、「人はなぜ太るのか-肥満を科学する」 岡田正彦 新潟大学教授の本を紹介したいと思います。いやはや、少なくとも120ページまでは読んでいたようで、しおりが挟み込んでありましたが、全く記憶に残っていない。興味が薄いということは恐ろしいことです。こんな良い本の価値を気づかず、本棚で眠らせていたなんて本当に残念です。

実はまだ、読了していないのですが、紹介したいと思います。科学者の目で肥満を扱い、かつ健康的にやせる方法まで紹介されています。しかも科学的根拠に基づく説明が非常に詳しいのです。

目次
プロローグ なぜやせられないのか
-肥満をめぐる疑問あれこれ
第一章 肥満のしくみ
-栄養のもと
-肥満と食事
-肥満は遺伝するか
第二章 肥満をはかる
-理想の体重とは
-肥満の影響をはかる
第三章 肥満はなぜ健康に悪いか
-メタボリックシンドロームとは?
-肥満によって起こる病気
第四章 健康的にやせるには
-運動療法
-食事療法
-医学にたよる
エピローグ ちょっぴり
-やせたい人へのアドバイス

岡田正彦教授のホームページを訪れると研究テーマとして以下の言葉が掲げられている。本当に名言だと思います。
研究テーマ
  • 病気を予防するために真に必要なことは何かを考えている。研究が進むにつれ、過剰な医療でむしろ健康を害している人の多いことがわかってきた。結論は『何もしないことが最高の医療』ということになりそうだ。
この言葉に代表されるように、学問を企業の論理や経済原理等に従った方向で行っている方ではなく、物事の本質を大切にした本来の研究をされている方だという事が良くわかる。その研究内容も多彩であり、できれば岡田教授の研究をもっと深くフォローしてみたいと考えています。


本の話に戻りますが、タイトルだけは損をしていると思いました。内容としては本当にすばらしいだけでなく分かりやすくかつ読みやすくので、「健康に痩せるための科学的アプローチ」などと、痩せようと考えている一般の人々をひきつけるタイトルにしたらもっと広く読んでもらえるように思われる。

太る原因については、一般的なカロリーの観点からだけでなく、どのような食べ物がより太りやすいのかというところも含め、科学的な研究の成果が報告され、太ることでどのような病気の危険性があるのかまで言及されている。また、健康政策の結果どのような事態が発生しているのかなど、社会的な動きなども興味深い。そして、これからダイエットをしようとしている方には、第四章の健康的にやせるにはが本当の意味でのダイエットの実践参考書になるでしょう。この章には、薬、ホルモン、手術、民間療法等についてもその状況が言及されています。そのような安易な方法に頼ろうとする方は、この本を一読して再考したほうが良いでしょう。

意外なところでは、「お酒の飲みかた」という話です。アルコールはエネルギー源としては使われず、カロリー源として体に残らないのだそうです。酒類のカロリーはアルコールを差し引いて考えれば良く、350mlのビールもエネルギーとして吸収されるカロリーとしては50kcal程度とのこと。アルコールを勧めるわけではなく、皆さんが興味を持ち、我々の理解を修正してくれる内容の例としてお酒を取り上げました。

また、ダイエットだけでやせると、脂肪だけでなく筋肉も減少する、この状態でリバウンドすると今度は脂肪だけが増える、これを繰り返すと、筋肉だけが相対的に衰えていくという体にとって恐ろしい状態になるなどのことが指摘されています。これが、ダイエットだけでなく、運動を並行して行うことを推奨する大きな理由になっている。*ダイエットとは正確には「食事制限」のことであり、日本では誤った表現のまま、「ダイエット」=「やせる」と使われていることが多い。

年をとっても寝たきりにならないためにも、運動とダイエットの両者を並行して実施するべきであると再確認した次第です。そして、やせるペースは最大週に0.5kg、月にして2kg以内が、健康障害を起こさないで行える上限だそうです。実際、週に0.5kgの減量は、ダイエットだけで実施するには毎日500kcal食べる量を少なくする必要があり、かなり厳しいでしょう。

今日は本の紹介にとどめますが、この本の個別の内容について私なりに考えたことを追って書いてみたいと思っています。



岡田正彦 新潟大学教授 その他の本:

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